【2023年版】個人歯科医院の売上は4,575万円、利益は1,420万円|経費を削減する方法5選

歯科医院の売上推移 経営

個人歯科医院の経営は厳しい?直近20年間の売上推移

厚生労働省が2年に1度調査を行う、「医療経済実態調査医療機関等調査」のデータを基に、約20年間分の個人経営の歯科医院の医業収入の推移を調査分析したところ、下記が明らかになりました。

(調査結果)
・平成11年~平成29年にかけて、個人歯科医院の売上は約20%ほど減少したものの、2017年からは底打ち反転し、令和3年調査の時点では2017年比で10%の改善を見せ、4,575万で着地しました。
・自由診療(その他診療収入)については、令和3年調査時点で619万円で着地しこの20年間で約20%ほどの増加となっています。
(前提)
・法人化した医院はデータには含まれておりません。
(上記データは個人歯科医院のみの実績の平均値となっております)
・データ対象の歯科医院のチェア台数は平均3台です。
・平成23年以前の調査では、年間ではなく単月の医業収入しか記載されていないため、平成23年以前の年間の売上実績は、調査結果の単月の売上実績を12倍にして(1年間分として)試算しておりますので、ご留意ください。

参照元:医療経済実態調査/医療機関等調査

https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/zenpan/iryoukikan.html

令和3年度の個人歯科医院の売上は4,575万円|都道府県別の歯科医院の売上

上述の個人歯科医院の売上4,575万というデータは日本全国の平均値となっておりますが、下記の前提で47都道府県ごとの個人歯科医院の売上を推定いたしました。

(前提)
・厚生労働省が毎年調査を行う「医療費の動向調査」の結果から、47都道府県別の歯科にかかる概算医療費を抽出しています。
・概算医療費を都道府県別の人口で割ることで1人あたりの都道府県別の歯科医療費を試算しました。
・歯科医院の売上平均4,575万円に対して、下記の計算式で都道府県別の歯科医院の売上を推定しました。
都道府県の売上推定値=全国の売上平均値 X (都道府県の1人あたり年間歯科医療費÷全国の1人あたり年間歯科医療費)

参照元:医療費の動向調査

https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/zenpan/iryou_doukou.html
(調査結果)
・1人あたりの年間歯科医療費が最も高い都道府県は大阪府の32,119円、最も低いのは青森県の18,884円と、約1.7倍の開きがあります。
・上記に伴い年間の売上も大阪府で5,929万円、青森県で3,486万円という推定結果となりました。

概算医療費(億円)都道府県別の人口(千人)受診延日数(万日)1人あたり年間受診日数1人あたり年間歯科医療費(円)個人歯科医院売上(万円)
全国平均31,498127,09539,9043.1¥24,7834,575
北海道1,2965,3821,5252.8¥24,0804,445
青森2471,3083092.4¥18,8843,486
岩手2681,2803272.6¥20,9383,865
宮城5102,3346682.9¥21,8514,034
秋田2271,0232612.6¥22,1904,096
山形2441,1243062.7¥21,7084,007
福島3931,9145222.7¥20,5333,790
茨城6222,9178262.8¥21,3233,936
栃木4171,9745863.0¥21,1253,900
群馬4191,9735973.0¥21,2373,920
埼玉1,6427,2672,2723.1¥22,5954,171
千葉1,4956,2231,9393.1¥24,0244,435
東京3,77913,5154,9333.7¥27,9625,162
神奈川2,3099,1262,8643.1¥25,3014,671
新潟5122,3046452.8¥22,2224,102
富山2181,0662842.7¥20,4503,775
石川2251,1542922.5¥19,4973,599
福井1537871952.5¥19,4413,589
山梨1898352452.9¥22,6354,178
長野4552,0995842.8¥21,6774,002
岐阜5262,0326583.2¥25,8864,779
静岡7973,7001,0742.9¥21,5413,976
愛知2,0687,4832,5073.4¥27,6365,102
三重4081,8165262.9¥22,4674,147
滋賀2931,4133892.8¥20,7363,828
京都6292,6107642.9¥24,1004,449
大阪2,8398,8393,3323.8¥32,1195,929
兵庫1,4795,5351,7693.2¥26,7214,933
奈良3101,3644053.0¥22,7274,196
和歌山2219642792.9¥22,9254,232
鳥取1275731602.8¥22,1644,092
島根1476941792.6¥21,1823,910
岡山5141,9225903.1¥26,7434,937
広島7562,8449083.2¥26,5824,907
山口3301,4054243.0¥23,4884,336
徳島1967562423.2¥25,9264,786
香川2639763133.2¥26,9474,974
愛媛3101,3854173.0¥22,3834,132
高知1577281982.7¥21,5663,981
福岡1,4375,1021,8663.7¥28,1655,199
佐賀1998332733.3¥23,8904,410
長崎3371,3774233.1¥24,4734,518
熊本4211,7865493.1¥23,5724,351
大分2371,1663052.6¥20,3263,752
宮崎2411,1043102.8¥21,8304,030
鹿児島3551,6485003.0¥21,5413,977
沖縄2811,4343592.5¥19,5963,617


都道府県ごとに歯科医院の売上が異なる理由の仮説としては、上記の表に記載した「1人あたり年間受診日数」が、都道府県別に異なるため、1歯科医院あたりの売上が上下している可能性が高いと推察しています。当然ですが交通・鉄道網が発達している都心エリアの方が平均的な年間受診日数が高くなる傾向があるため、結果として1人あたりの歯科医療費が増え歯科医院の売上が伸びやすくなるようです。

したがって地方で開業した歯科医院においては、いかに自院の患者さんにより多く来てもらえるかが、今後の売上増加の活路になるのではないかと推察します。

都道府県別の歯科医院の経費と利益

厚生労働省の「医療経済実態調査医療機関等調査」のデータには、売上となる医業収入にかかるデータだけでなく、売上にかかる各種経費および利益の金額まで記載されております。
売上に対する経費および利益の全国平均値は下記のとおりです。

売上      :4,575万円
給与費     :1,339万円(29.3%)*1
医薬品費    :   46万円( 1.0%)
歯科材料費   :  357万円( 7.8%)
委託費     :  363万円( 7.9%)*2
減価償却費   :  276万円( 6.0%)*3
その他(医業費用):  868万円(19.0%)*4
利益      :1,420万円(31.0%)

*1) 開設者の報酬に相当する部分は含まれていない。
*2) 歯科技工、医療用廃棄物、医療事務等の委託費
*3) 建物、建物附属設備、医療機器、車両船舶等の減価償却費
*4) 経費(福利厚生費、消耗品費、光熱水費、賃借料、事業税、固定資産税等)、その他(支払利息、雑費等)

第23回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/zenpan/jittaityousa/dl/23_houkoku_iryoukikan.pdf

売上同様に、各種経費および利益についても都道府県別の数値を推定いたしましたので、ご参考にしていただき、下記の推定値と大きく乖離がある場合は、後述する経費削減の具体的な方法もぜひ参考にしてみてください。

(万円)売上給与費医薬品費歯科材料費委託費減価償却費その他利益
全国平均4,5751,339463573632768681,420
北海道4,4451,301453473532688431,380
青森3,4861,020352722772106611,082
岩手3,8651,131393023072337331,200
宮城4,0341,181413153202437651,252
秋田4,0961,199413203252477771,271
山形4,0071,173403133182427601,244
福島3,7901,109382963012297191,176
茨城3,9361,152403073122377471,222
栃木3,9001,141393043092357401,210
群馬3,9201,147393063112377441,217
埼玉4,1711,221423253312527911,295
千葉4,4351,298453463522688411,376
東京5,1621,511524034103119791,602
神奈川4,6711,367473643712828861,450
新潟4,1021,201413203252477781,273
富山3,7751,105382953002287161,172
石川3,5991,053362812862176831,117
福井3,5891,050362802852176811,114
山梨4,1781,223423263322527931,297
長野4,0021,171403123182417591,242
岐阜4,7791,399483733792889071,483
静岡3,9761,164403103162407541,234
愛知5,1021,493513984053089681,583
三重4,1471,214423243292507871,287
滋賀3,8281,120382993042317261,188
京都4,4491,302453473532688441,381
大阪5,9291,735604634703581,1251,840
兵庫4,9331,444503853912989361,531
奈良4,1961,228423273332537961,302
和歌山4,2321,239433303362558031,314
鳥取4,0921,197413193252477761,270
島根3,9101,144393053102367421,214
岡山4,9371,445503853922989371,532
広島4,9071,436493833892969311,523
山口4,3361,269443383442628231,346
徳島4,7861,401483733802899081,485
香川4,9741,456503883953009441,544
愛媛4,1321,209423223282497841,282
高知3,9811,165403113162407551,236
福岡5,1991,522524064133149861,614
佐賀4,4101,291443443502668371,369
長崎4,5181,322453533582738571,402
熊本4,3511,274443403452638261,351
大分3,7521,098382932982267121,165
宮崎4,0301,179413143202437651,251
鹿児島3,9771,164403103162407541,234
沖縄3,6171,059362822872186861,123

歯科医院の利益増加につながる経費削減の方法5選

人件費の削減

他のサービス業と同様に、歯科医院の経費のなかで最も大きな比率を占めているのが人件費となっています。当然ですが人件費を下げた分だけ利益が出しやすくなります。

しかし、むやみやたらに人件費を削減しただけでは従業員の離職や顧客満足度の低下につながる恐れがあります。まずは自院の売上に対する人件費率が平均と比べ、どの程度改善の余地があるのかを把握し、改善の余地があるのであれば目標を設定し具体的な改善プランを検討しはじめる必要があります。

人件費を削減する際のポイントは下記の2つです。

①人件費の変動費化
たとえば日にち・時間帯別の来院患者数のピークにあわせて適正な職員数を設定し、ピーク時にはパート人員でカバーすることで、人件費の圧縮ができます。それ以外には賞与を業績連動にする、企業が提供する代行サービスなどを活用するなども考えられます。

②兼業によるコスト削減

歯科医院で勤務するDHの主な業務は予防処置や診療補助などの3大業務ですが、患者がいない時間帯は、上記以外にも受付や会計清掃などの業務を任せることで、スタッフ稼働率の効率化を図ることができます。

医薬品費や材料費の削減

仕入先が異なる材料や備品については、もし一つの仕入れ先が必要なものを全て取り扱っているならば、特定の仕入れ先に発注を集約して取引量を増やすことで、仕入れ単価を引き下げる交渉がしやすくなります。

もう一つが在庫管理の観点で、日ごろから適正な使用量となっているかの把握が必要不可欠になります。在庫管理については下記の観点で無駄な使用をしていないかを把握したうえで、院内MTGなどを通じてスタッフに対する教育・指導を徹底する必要があります。

・過剰使用:1回の使用ごとに過剰に使っていないか
・未使用廃棄:期限切れなどが原因で、使用する前に無駄になっていないか

外注技工料等の削減

歯科医院では相見積もりはあまり行われていません。一般的に規模が大きい企業になってくると社内規定で相見積もりが義務化されているのに対し、歯科医院では以前からの知り合いだからという理由だけで発注先を決めているケースが多いのです。

馴染みのある取引先との関係性を大事にするほう良いケースもありますが、もし取引先が相場の金額よりかなり高い金額でサービス提供をしていた場合、歯科医院の利益減少に関わってくるため、馴染みがあるからとはいえしっかりと相見積もりは行うべきです。

ただし仕入れ先を変えるというのは、これまでお付き合いのあった取引先の一部を切ることと同義です。そのため今ある契約ついては誠実に対応したうえで、心を鬼して取り組むという判断をする必要があります。

水道高熱費の削減

日々の業務のなかで細かな節約をすることでも経費の削減につながります。その中でも比較的簡単に取り組める方法は下記の通りです。

①設備や機器の不必要な稼働をやめる
たとえば、誰も使用していない部屋の冷暖房や電気を消す、休憩時間中の機器の稼働や電気の消灯などがあげられます。また夏場の冷房や冬の暖房なども設定を1度~2度変更することも有効でしょう。

②水道使用量の削減
たとえば給水時の水圧の抑制や、節水機能がある設備を導入することで水道使用量を抑えることができます。

上記は具体的な水道光熱費の節約方法となっておりますが、大事なのは、院長含むスタッフの日々の行動に落とし込むことです。そのため、定期的なMTGの場において、しっかりと院長からメンバーのスタッフに言葉で伝え、理解してもらう必要があるのです。

広告宣伝費の削減

経費のなかでも広告宣伝費は通常売上に大きな影響をあたえる性質のため、むやみに削減すると売上減少につながる可能性があります。歯科医院の場合は看板広告や駅の構内広告、ポータルサイト(例、EPARK)などにかかる費用が該当します。しかしながら新患獲得や売上につながると考えて昔始めたときとは違い、時間が経った今となっては新患獲得や売上増加に貢献していない可能性があります。

したがって、広告宣伝費については、常に費用対効果が合っているのか、他により効率の良い方法がないか検証・模索する必要があるのです。たとえば新患来院時に記載してもらう「問診表」で下記のような設問を聴取することで、どの広告媒体が新患獲得につながったのかを検証する方法を取り入れている医院様も増えております。

設問)当院をどちらでお知りになりましたか?
□インターネットで検索 □Googleマップ □EPARK □駅・バス看板 □通りがかり □知人からの紹介 □その他(    )

具体的な活用方法としては、1か月分の問診表のデータを収集・集計してから、それぞれの広告媒体にかかった費用に対して1人の新患獲得にかかった費用を割り出すことで、効率の悪い媒体を特定することができるようになります。

(広告媒体別の新患獲得費用)
リスティング広告:月額3万円で月10人 :新患1人あたり3,000円
EPARK      :月額2万円で月4人  :新患1人あたり5,000円
駅・バス看板  :月額1.5万円で月2人:新患1人あたり7,500円

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